J2札幌の元日本代表MF小野伸二(35)が、今季リーグ戦初先発となった横浜FC戦で、精度の高い右足FKからチームの13試合ぶり勝利を演出した。14年7月に札幌加入後、初のアシスト。今季は3月に左膝の手術を受け出遅れていたが、3度のW杯を知る天才MFが、完全復活へのスタートを切った。

 小野らしい柔らかいボールタッチからゴールが生まれた。0-0の前半29分、右からのFK。軽い助走をつけると、軽くカーブをかけゴール前に上げた。「ピンポイントというより、誰かがあそこに走り込んでくれという感じで蹴った」クロスは、ファーサイドに走り込んだFW内村の頭にジャストミートした。

 札幌は前節まで12戦勝ちなし。その間にバルバリッチ前監督が解任になり、ユースの四方田監督が就任するも5試合未勝利と苦しんでいた。「何とかセットプレーで決めたかったのでうれしかった」。天才の右足が6月14日の岐阜戦以来、90日ぶりの白星を呼び込んだ。

 

 前日11日に予兆があった。全体練習後の居残りFK練習で、小野の蹴ったシュートが右ポストに当たって、ゴールの中で動きをチェックしていた野々村社長の股間に命中した。「狙って当てるのがすごい。試合でも見せて欲しい」と期待した同社長の想像通り、ミリ単位のボールコントロールが、決勝アシストという最高の形で表現された。

 昨年7月の札幌移籍後、ホーム札幌ドームでは出場9戦目で初の白星。ここまで1年2カ月、ケガに苦しんだが「これまで北海道のみんなの期待に応えられなかったから。これをきっかけに札幌や北海道の人が、また見にきてくれるようになれば」と前を向いた。98年に18歳でW杯フランス大会を経験してから17年。舞台はJ2になっても、卓越した技はまだまだ、輝きを放ち続ける。

 

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